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FROM THE PRINCIPAL

  1. 園長通信
  2. サンタクロースがやってきた!

サンタクロースがやってきた!

夜の長さが頂点を迎え、園庭の柚子の木は直径6センチほどの可愛らしい実をびっしりとつけて、薄暗い夕方にも明るい彩りを放ちます。黄色い実が緑の葉をすっかり覆うのを見計らってK林さんの指導の下に子どもたちによる柚子の収穫が始まりました。「園長先生、ジューサーを使ってみたいのですが、どうでしょう?」と笑顔で事務室にやってきた先生。今年の柚子は大収穫だったので、配り切れなかった分を生ジュースにしたいと言うのです。柑橘の香りがニューライフを包み込む中、美味しい生ジュースをいただき、身も心も元気になりました。

秋の収穫祭が終わると自然界は冬ごもりの季節を迎えます。寒さも格段に増した2学期の最後の日、サンタクロースがやってきて、子どもたちにクリスマスの贈り物を届けてくれました。その数時間後のことです。年少組の子どもたちが事務所にやってきました。どうやら翁先生はサンタさんと友達だ、ということになっているようです。「翁先生、子どもたちが描いた手紙をサンタさんへ届けてほしいのです。」子どもたちから見えないように、急いでサンタの扮装に使った衣装や道具を隠します。「はーい、いいですよォ!もっと事務室の奥まで入ってきて」子どもたちは、大きな模造紙に思い思いの表現を描いて持ってきてくれました。まるで絵巻物のようです。年少児はまだ文字は書けない子どもがほとんどですが、色とりどりの多様な表現でサンタさんへの思いや世界感が表現されていました。象形文字とも似ていて年少児の能力の高さを感じます。「翁先生、サンタさんへ渡してください」真剣なまなざしで、大きな、大きなお手紙を渡します。「うん、わかった。必ずサンタに渡すからね。」翁先生も子どもたちへ真剣なまなざしでこたえました。

もう少し、子どもたちと話してみたくなり、質問してみました。「サンタさん、どうだった?」すると、年少男児から予想外の答えが返ってきました。「あのね、サンタさん、人間みたいだったよ!」…そうか、年少さんの中には、初めて“サンタさん”に遭遇した子どももいるのだな…すると女児が続けて教えてくれます。「あの、パズルをもらったの、ぐりとぐらの。」…ぐりとぐらは日ごろから子どもたちに大人気の絵本だから記憶に残っているのだな、嬉しそう!…「今日それをおうちに持ち帰れるみたい。」…先生からの見通しの言葉もちゃんと覚えているのね!成長、成長!嬉しい!クリスマスを前に、子どもたちは沢山の成長を感じるやりとりを表現してくれました。先生たち、保護者のみなさま、そして子どもたち!嬉しい成長のプレゼントを本当にありがとう。

子どもは生後10か月頃からイメージがわきはじめると言われています。すこし難しい言葉で言えば、大脳辺縁系の「海馬(主に記憶にかかわる)」と「扁桃体(主に感情にかかわる)」がネットワーク化されはじめ、体験の記憶が蓄積されるようになるのです。この後、どんどん知識が吸収されていくことになるため、幼児期の生活ではご機嫌で楽しい時間を少しでも長く過ごせるような環境作りが大切になります。そして、小学校に入学する頃になると、「前頭葉(情報処理全体を統括)」と「海馬」と「扁桃体」がネットワーク化され、未来を意識して計画を立てたり、目的のために仲間と協働したり、過去を振り返って反省したりする力が、ゆっくり、ゆっくり、芽を出し始めるのです。
つまり、幼児期は小学校からの生活の土台となる時期であり、発達のスピードに明確な正解はなく、むしろ、興味関心に没頭し、楽しい時間・ご機嫌な時間を沢山体験し、友だちとの人間関係においても温かい気持ちや優しい気持ち、ときにはけんかなどの葛藤する気持ちを味わいながら、その子なりのペースで一歩一歩成長することが大切なのです。
ご家族みなさま、子どもたちとともに素敵なクリスマスをお過ごしください。

ニューライフ幼稚園 園長 角和麻衣子