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- 園長通信
- 目には見えない成長を、どのようにして感じるか?
目には見えない成長を、どのようにして感じるか?
九州が梅雨入りして1週間、横浜でも雨降りが続きます。卵から孵ったばかりの細く頼りないカマキリの赤ちゃんたちの姿は、もう見当たりません。厳しい自然界においても、きっとニューライフの子どもたちのように逞しく生き抜いていることでしょう。
梅雨の晴れ間の朝、自由遊びに興じる子どもたちの高らかな笑い声が聞こえてきます。まるでポルカの様です。とりわけにぎやかな鉄棒エリアは体操自慢の子ども達に人気のスポットです。「園長先生、ちょっとだけ、ちょっとだけ!」年中の男児が声をかけてくれました。「え~?足掛けまわりができるようになったんだね!」両手のひらを大空に向かって広げ、つま先立ちでぐぃーんと背を反らせても、なかなか届かなかった鉄棒に、今は確かに届いています。「こんなこともできるよ」次々と披露してくれる様々な技に目を丸くしていると、年少の男児が近付いて来ました。「ぼくも、やりたーい!」そう言って真似してみますが、手のひらは空をつかんでいます。抱っこしてあげようかな…もう少し様子をみようかな、そんなことを考えているうちに、鉄棒からひらりと降り立った年中の男児が年少の男児を抱っこし、「大きくなったら届くよ。」そう言って、また高い鉄棒に足をかけました。年中男児が1年前に感じていた憧れの感情経験をもとにして、他者の思いに気づく姿に心の成長を感じました。
「10時になりました~片づけをしてお部屋に入りましょう~。ゆり組さんは、まだ(外で遊んでいて)いいですよぉ。」先生の言葉かけに反応し、何人かの子どもたちが教室の方へかけだして行きました。年中の男児が鉄棒の上に腰を掛けてその様子を眺めています。そこへ別の年中の男児が駆け寄ってきました。「もうお部屋だって、言っていたよ!」「僕はゆり組だから、まだ(外で遊んでいて)いいんだよ。君はゆり組?」「え?僕は、ばら組。」「それじゃあ、お部屋だよ。ゆり組じゃぁ無いのだから。多分!」そう言って、また視線を園庭全体へ向けました。自分が所属するゆり組と、それ以外の組の子どもたちの行動を明確に識別していることがわかるやりとりに再び心の成長を感じました。
子どもの発達を捉えるには大きく3つの視点があります。身体、心、そして社会性です。このうち特に心の発達は我々の目には見えません。子どもたちの中に入り、耳をそばだてて、思わずニンマリ。目には見えない成長を感じては喜びの陽が射す梅雨の日々です。
ニューライフ幼稚園 園長 角和麻衣子